ササ(笹、篠、筱、筿)はタケに似た小型の植物。実際にはその大きさは様々なことから両者の区別がつきにくい場合もあり、日常用語としては明確な区別をせず用いる場合もあるが、植物学上は区別がある。
分類学上の扱い[編集]
ササは単子葉植物イネ科タケ亜科(タケ科とすることもある)に属する植物である。この群には大きく三つの植物がある。タケ・ササ・バンブーであり、茎や葉の構造は互いによく似ている。その違いは以下の通り。
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バンブーは地下茎が横に伸びず、株立ちとなる。大型になり、熱帯域に多い。
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タケは地下茎が横に伸び、茎は当初は鞘に包まれるが、成長するとその基部からはずれて茎が裸になる。
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ササはタケと同じく地下茎が横に伸びるが、茎を包む鞘が剥がれず、枯れるまで残る。
一般にササはタケより小さいが、一部には逆転する例もあり、オカメザサはごく小さなタケ、メダケは大きくなるササである。
生育環境[編集]
地下に匍匐茎を伸ばし、密集した群落を作る。一面に生えた場合、これを笹原という。
笹のよく生える条件として、日本ではいくつかのパターンがある。一つはパイオニア植物として振る舞う場合である。よく河川周辺や道ばたなどにネザサ類が出現する。これは、草刈りや川の氾濫などによる不定期な攪乱(かくらん)に強いためである。また、寒冷地では森林の伐採あとが笹原になる例がよくある。
もう一つはブナ林の下生えで、日本のブナ林では林床でササ類が優占する例が多い。その種は地域によって異なり、太平洋側ではスズタケ、日本海側ではチシマザサの場合が多い。
非常に多くの種がある。日本のタケ類のほとんどが中国渡来であるのに比べ、ササ類は土着の種が多く、しかも地方変異が多い。
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メダケ属 Pleioblastus:カンザンチク・リュウキュウチク・タイミンチク・ケネザサ・カムロザサ・ゴキタケ・アカネザサ・ギボウシノ・ハコネダケ・アズマネザサ・メダケ
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アズマザサ属 Arundinaria:アズマザサ・スエコザサ・トウゲザサ・サドザサ・タンゴシノチク・ヤブザサ・アリマシノ・
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ササ属 Sasa:ミヤコザサ・ウンゼンザサ・オオクマザサ・ニッコウザサ・アポイザサ・クマザサ・オオササ・オオバザサ・ミヤマザサ・チマキザサ・クマイザサ・チシマザサ・オクヤマザサ・イブキザサ・トクガワザサ・キンキナンブスズ・ミカワザサ・タキザワザサ
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スズタケ属 Sasamorpha:スズタケ・ケスズ
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ヤダケ属 Pseudosasa:ヤダケ・ヤクシマダケ
- インヨウチク属 ×Hibanobambusa:インヨウチク
ほかに、葉の幅が広いイネ科植物には、ササの名を持つ例が多い。代表的なものを以下にあげるが、最もササに似ているのはササクサである。
それ以外にも、細長くてある程度幅のある葉をササになぞらえる例は多々ある。
文化面[編集]
- 欧米ではササ (sasa) と呼ばれるように、日本的な植物と認知されている。
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家紋の代表的な図案の一つに笹紋がある。
- 笹の葉には防腐作用があり、料理や食材、特に保存食を包む為に使用される(鱒寿司、ちまきなど)。
- 日本では、七夕において笹飾りとして使われる。
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戦国武将の可児吉長は指物に笹を用い、討ち取った敵の首にその笹の葉を含ませて手柄の証としたため、「笹の才蔵」の異名をとった。
- 笹の実は古来から食用にも供されてきた(ただし、戦時中の食糧難時に岩手県で笹の実を食べた妊婦が数多く流産するという事件があったが、これは麦角菌に感染していた笹の実を食したのが原因であろうと考えられている)[1]。
- 笹の葉を浴槽に入れて入浴すると「ウルシカブレ」が治るという伝統風習が、長野県阿智村や喬木村にある[2]。
関連項目[編集]