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クロツヤバエ(黒艶蝿)は、双翅目クロツヤバエ科 (Lonchaeidae) に属する種の総称。小型で黒っぽく、多少なりとも金属様光沢をもつものが多い。メスの腹端は槍状に伸びる。2012年までに世界でおよそ520種あまりが記載されている[2]。和名は体の色合いに由来し、学名はタイプ属 Lonchaea (ギリシャ語:lonchaios ランス (槍)の-)に科名を示す語尾-idaeを付したもの[3]。
世界に広く分布し、ニュージーランドを除く主な地域に分布する[4]。日本でも数種が記録されているが、研究は不十分である。
体長は3-6ミリ程度と小形で、一般的な”無弁翅類”の姿をしている。多くは科和名のとおり体は黒く光沢をもつが、ときに褐色のものやLamprolonchaea smaragdi のように緑色の金属光沢のある種などもいる。頭部は概ね半球状で複眼が大きく、頬は非常に狭い。胸は丸味を帯び、腹部はやや上下に扁圧される。メスでは腹端が長く槍状になる。翅は一般には透明で、ときに曇ったり褐色を帯びるものがあり、多くの種で丸味のある長三角形状。脚は腿節と脛節が黒く跗節が褐色がかるのものが多い。その他、本科を識別するための特徴のいくつかを、主として『新訂 原色昆虫大圖鑑』(2008)にあるハエ目の検索表[5]を参考に以下に挙げる。
幼虫の大部分は植食性で、葉に食害をもたらすことが知られているが、腐食性、捕食性などの種も知られている。例えば Lamprolonchaea smaragdi は、トマトに食害をもたらす害虫として扱われる[6]。
科の原記載とされるLoewの報告[1]が掲載された報告書の表紙[1]には1861年と明記されていることから、それに従うのが一般的であるが、国際動物命名規約委員会(ICZN)(1963)のOpinion 652 (4)[7]には1862年と記されている。
一般に以下の2亜科9属に分類されている。そのうちDasiopinae亜科は Dasiops 属のみからなり、前気門の後ろ(中胸上前側板の前縁上部)から前気門側に向って生える剛毛(”気門後剛毛”:stigmatical hairs / poststigmatal bristles)を持つことで区別される。したがって、この剛毛をもたないものが Loncaeinae亜科に分類される[8]。
2012年6月までに世界から記録されているのは以下の9属523種とされる[2]。