セッパリイルカ(背張海豚、Cephalorhynchus hectori)はクジラ目ハクジラ亜目マイルカ科イロワケイルカ属に属するイルカである。イロワケイルカ属の中では最も良く知られている。
Maui's Dolphin(Cephalorhynchus hectori maui)はセッパリイルカの亜種であり、ニュージーランド北島の北西の沖に棲息する。海棲哺乳類の中では最も絶滅の危機にさらされている。(河川や河口に棲息するクジラ目の他の種類と同程度の絶滅の危機にある)
体長は約140センチメートル弱でクジラ目の中では最も小さな部類に属する。 シルエットはネズミイルカに似る。口吻は短いが幅広であり、メロンの突出の無い。背びれの形状は後方が丸く、特徴的。尾びれは大きく先端は尖っており、後端は凹形、中央に僅かな切れ込みがある。[3]ほぼ全身が淡い灰色に見えるが、近くで詳細に観察すると様々な色が入り組んだ模様であることがわかる。額は灰色であり、黒い線状の模様がある。口吻の先端は黒である。喉と胸は白い。目から胸びれにかけて濃い灰色の模様があり、胸びれも濃い灰色である。腹は白く、背びれ近くの側面には帯状の模様がある。背と側面は口吻よりも明るい灰色である。胴の尾側は細い。産まれた直後の体重は9キログラム程度であるが、成長すると40から60キログラムに達する。寿命は20年程度である。
セッパリイルカは2頭から8頭程度の群を成して行動する。活発に行動し、船首波に乗ったり、海草で遊んだりする。海面で跳躍して、身体の側面から着水し、大きな水しぶきを上げることもある。
サメに捕食されることがある。
セッパリイルカはニュージーランド近海に固有の種である。ニュージーランド南島の東西の沿岸二つに別れて分布していることが知られている。北側はクック海峡、南側は南島の南西部の深い海域によって2つに別けられていると考えられている。セッパリイルカは深い海域を泳ぐのを好まないか、あるいは深い海域では泳ぐことができないようである。1980年代中頃には、生息数は約3,500頭と見積もられていた。最近の研究ではもっと少なく、2,000から2,500頭程度と考えられている。
セッパリイルカは、夏には海岸から10キロメートル以内の近海で観られる。冬には若干海岸から離れるようである。オーストラリアやマレーシアでの目撃が報告されたことがあるが、全て誤認であった。
Maui's Dolphin の生息数はわずか100頭程度である。
セッパリイルカにとって、刺し網は非常に重要な脅威である。1970年以降で、刺し網が原因で生息数が半減したと見積もられている。1988年にバンクス半島 (Banks Peninsula) 周辺で刺し網漁を禁止する保護区が設けられた。これにより生息数の減少には歯止めがかかったが、生息数の増加にまでは至っていない。他の脅威、例えば船舶のスクリューとの衝突などが、生息数が安定しない原因であろう。
2004年3月、ニュージーランドの Department of Conservation(動物保護に関する省庁)は3頭のセッパリイルカに無線タグを付けて、人工衛星で追跡するシステムの試験を始めた。セッパリイルカの行動を追跡することに成功すれば、同システムは、より絶滅の危機に瀕している Maui's Dolphin(英語版) の追跡に拡張されるだろう[4]。