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マダラトビエイ ( Japanese )

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マダラトビエイ
生息年代: Upper Cretaceous–現世[1]
Spotted Eagle Ray (Aetobatus narinari)2.jpg 保全状況評価[2] NEAR THREATENED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 NT.svg 分類 : 動物界 Animalia : 脊索動物門 Chordata : 軟骨魚綱 Chondrichthyes 亜綱 : 板鰓亜綱 Elasmobranchii : トビエイ目 Myliobatiformes : トビエイ科 Myliobatidae : マダラトビエイ属 Aetobatus : マダラトビエイ A. narinari 学名 Aetobatus narinari
(Euphrasén, 1790)[3] シノニム

Aetobatis latirostris
Aetobatis narinari
Aetomylus maculatus
Myliobatis eeltenkee
Myliobatis macroptera
Myliobatus punctatus
Raia quinqueaculeata
Raja narinari
Stoasodon narinari
[4]

和名 マダラトビエイ
(斑鳶鱏、斑鳶鱝、斑鳶鰩、斑鳶海鷂魚) 英名 Spotted Eagle Ray Spotted Eagle Ray Range Map.jpg
分布

マダラトビエイ(斑鳶鱏、斑鳶鱝、斑鳶鰩、斑鳶海鷂魚、Aetobatus narinari)はトビエイ科に属するエイの一種。全世界の熱帯沿岸の深度80m以浅で見られる。

背面は黒く白い斑点がある。長い尾の基部に毒棘を持つ。卵胎生。餌は底生生物で、吻で砂を掘って探す。主な天敵はサメ。人への危険は少ないが、水から飛び出しボートに着地した事故もある。IUCN準絶滅危惧としている。

分類[編集]

1790年、スウェーデンの植物学者Bengt Anders EuphrasénRaja narinariとして記載された。標本は彼がアンティル諸島へ旅した時に入手したものだが、出所は未確定である(おそらくブラジル沿岸)。その後Stoasodon属に移された[3][4][5]。現在では古代ギリシャ語aetos(鷲)、batis(エイ)に由来するAetobatus属に置かれている。この種を含むトビエイ科のエイは遊泳性であることが特徴である[4]

分布[編集]

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海底で餌を探す

全世界の熱帯・温帯で見られ、大西洋西部ではノースカロライナからメキシコ湾カリブ海を経てブラジル南部まで、大西洋東部ではモーリタニアからアンゴラまで、インド太平洋では南アフリカ紅海・北は日本から南はオーストラリアまで、東太平洋ではカリフォルニア湾からペルーのPuerto Pizarroまで、ガラパゴス諸島ハワイにも分布する[4][6]

浅い沿岸のサンゴ礁や湾内、深度80m以浅に生息する[6]。通常は水面近くで群れており、長距離を移動することもある[4]

形態[編集]

Photograph
頭部

体は平たく、背面は濃紺から黒に白い斑点が散らばり、腹面は白。アヒルの嘴にも似た平たい吻がある[7]。尾はかなり長く、腹鰭の直後に2-6本の毒棘がある[4]。体盤は左右に長く翼状、鰓裂は5対で小さい[8]

最大で全長5m・体盤幅3m・230kgになる[6][9]

生態[編集]

繁殖[編集]

一匹から数匹の雄が雌を追い回し、背面に上顎を引っ掛ける。雄はどちらかの胸鰭上に移動し、左右に回りながら雌の腹側に回りこもうとする。その後胸鰭に上顎を引っ掛けたまま腹面同士を接触させ、クラスパーを挿入する。交尾は30–90秒続く[4]

卵胎生であり、卵は母体内で孵化した後卵黄で育つ[4]。妊娠期間は1年、産仔数は最大4[2]。出生時の仔魚は体幅170-350mm[4]。生後4-6年で性成熟する[2]

摂餌[編集]

主に二枚貝巻貝甲殻類(特に軟甲綱)などの埋在動物を食べ[10][11]、ヤドカリ[12]・エビ・タコ・小魚[13]などが記録されている。

歯列はくの字型で、結合して1枚の板になっているほか[6][9]、顎にも石灰化した支柱があり、これらは貝などの殻を砕くための適応である[1]。エイでは珍しく、吻を用いて砂を掘って餌を探し[14]、鰓穴から砂を排出する。オーストラリアと台湾での研究では、雌雄で摂餌行動に違いは見られなかった[11]

行動[編集]

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腹面

水温24-27℃を好む。行動は潮位に影響を受け、ある追跡調査では満潮時に活発になることが分かった。

"pelvic thrust"・"extreme pelvic thrust"・"dip"と呼ばれる特徴的な泳ぎ方がある。"pelvic thrust"は単独の時に行い、4-5回腹部だけを動かして加速する。"extreme pelvic thrust"は群れの時に行い、急激に腹部と胸鰭を動かして群れの上方に抜け出る。"dip"は急速に降下してから上昇する泳ぎ方で、付近にいる他の個体に影響をあたえるように見える。またジャンプもするが、それには2つのタイプがあり1つは水面から垂直に飛び出し、そのまま着水するパターン。もう1つは45°の角度で飛び出し複数回ジャンプするパターンである。摂餌は単独だが、休息時には3-16匹で群れを作る[15]

天敵[編集]

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天敵の一つツマジロ

他の多くのエイのように、イタチザメレモンザメオオメジロザメツマジロヒラシュモクザメなどのサメに捕食される[16][17]。サメがこの種を捕食するときは、海底に抑えつけてから頭部に噛み付く[18]。ヒラシュモクザメに体盤を喰い千切られ泳げなくなった個体が観察されている。出産期に雌を追い回し、産まれた仔魚を捕食するサメも観察されている[4]

人との関連[編集]

飼育には大きな水槽を必要とするが、背面の白い斑点が注目を集めるため多くの水族館で飼育される[19]。本種を対象とした漁はないが、混獲され食されることはある[19]。一般的には、臆病なため人の脅威となることはないとみなされるが[4]、水面から飛び出しボートに着地した例が報告されている。この時は女性が一人死亡している[20][21]

保護[編集]

IUCNは保護状況を準絶滅危惧としている。主に東南アジアやアフリカで捕獲され、水族館で展示するために取引される。保護には様々な努力が払われており、南アフリカではサメ防御網を減らすことで絡まって死亡する数を抑えているほか、一人一日あたりの購入可能数を制限している。フロリダ州では釣り・水揚げ・販売・購入が禁止されている。グレートバリアリーフでも保護されている[3]

出典[編集]

  1. ^ a b Aetobatus narinari”. Digital Morphology (^ a b c Kyne, P.M., Ishihara, H., Dudley, S. F. J. & White, W. T. (Aetobatus narinari. 2008 IUCN Red List of Threatened Species. IUCN 2008. 2009年2月24日閲覧。
  2. ^ a b c Kyne, Ishihara. “Aetobatus narinari”. IUCN 2011. 2011年10月23日閲覧。
  3. ^ a b c d e f g h i j k Bester, Cathleen. “Ichtyology at the Florida Museum of Natural History”. Florida Museum of Natural History. 2011年10月21日閲覧。
  4. ^ (German) Symbolae Antillanae : seu fundamenta florae Indiae Occidenttalis. Berolini : Fratres Borntraeger ; Parisiis : Paul Klincksieck. http://www.archive.org/details/symbolaeantillanv3pt1urba
  5. ^ a b c d Luna, Susan M. "Aetobatus narinari – Species Summary". Fish Base. 30 April 2007. WorldFish Center. 3 June 2007.
  6. ^ Australian Wildlife. “White-Spotted Eagle Ray”. 29 October 2011閲覧。
  7. ^ The Living Marine Resources of the Western Central Pacific”. pp. 1511, 1516. 30 October 2011閲覧。
  8. ^ a b "Spotted Eagle Ray". Elasmodiver. 3 June 2007.
  9. ^ Bester, Cathleen. “Eagle Ray Spotted Eagle Ray Aetobatus narinari”. 18 October 2011閲覧。
  10. ^ a b Schluessel, Vera. “Life History, Population Genetics and Sensory Biology of the White Spotted Eagle Ray Aetobatus narinari (Euphrasen, 1790) with Emphasis on the Relative Importance of Olfaction”. 2011年10月18日閲覧。
  11. ^ Diet and reproduction in the white-spotted eagle ray Aetobatus narinari from Queensland, Australia and the Penghu Islands, Taiwan”. 2011年11月1日閲覧。
  12. ^ SeaWorld. “Spotted Eagle Ray”. 2011年11月1日閲覧。
  13. ^ Silliman 1999, p. 5.
  14. ^ Silliman 1999, pp. 5–6.
  15. ^ Silliman 1999, p. 2.
  16. ^ Spotted Eagle Ray, Aetobatus narinari”. marinebio.org. 9 November 2011閲覧。
  17. ^ Chapman 2002, p. 949.
  18. ^ a b Fowler, Sarah L; Cavanagh, Rachael D (2005). “Species status report”. Sharks, rays, chimaeras: The status of the Chondrichthyan fishes. UK: IUCN. p. 354. ISBN 2831707005. http://books.google.com/books?id=z6scNrsln2MC&pg=PA354.
  19. ^ CNN. “Woman dies after stingray strikes her”. Cable News Network. A Time Warner Company. 30 October 2011閲覧。
  20. ^ CNN. “Ray slams woman on boat in Florida Keys”. Cable News Network. A Time Warner Company. 30 October 2011閲覧。

参考文献[編集]

外部リンク[編集]

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マダラトビエイ: Brief Summary ( Japanese )

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マダラトビエイ(斑鳶鱏、斑鳶鱝、斑鳶鰩、斑鳶海鷂魚、Aetobatus narinari)はトビエイ科に属するエイの一種。全世界の熱帯沿岸の深度80m以浅で見られる。

背面は黒く白い斑点がある。長い尾の基部に毒棘を持つ。卵胎生。餌は底生生物で、吻で砂を掘って探す。主な天敵はサメ。人への危険は少ないが、水から飛び出しボートに着地した事故もある。IUCN準絶滅危惧としている。

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