ハナドリ科(ハナドリか、Dicaeidae)は、鳥類スズメ目の科である。
ハナドリ(花鳥)と総称されるが、狭義にはその1種をハナドリと呼ぶ。
東洋区(南アジア・東南アジア・台湾)、オーストラリア区(メラネシア、1種のみオーストラリア)に生息する。
熱帯雨林で生活し、主に花蜜を、ほかに、花に集まる小昆虫や種子などを食べる。
分類系統は異なるがアメリカ大陸のハチドリ科やオーストラリアのミツスイ科と同様の形態・生態的位置を占める。平行進化のひとつ。
系統樹は Nyári et al. (2009)[2]より。
タイヨウチョウ亜科Pachyglossa (“odd” Dicaeum)
タイヨウチョウ科と姉妹群である。スズメ上科の中で基底的な数科の1つである[3]。
ハナドリ科は、最も外側の初列風切P10の長さにより人為分類されている。ハナドリモドキ属 Prionochilus はP10が発達し、ハナドリ属 Dicaeum では痕跡的である。ただし例外的に、ハナドリ属のキバラハナドリ D. melanoxanthum はP10が発達している。
しかし系統的には、ハナドリ属は単系統ではなく、少なくとも4種(D. chrysorrheum, D. melanoxanthum, D. agile, D. everetii, 他に未サンプリングの種が加わる可能性あり)からなる “odd” Dicaeum がハナドリモドキ属と近縁な可能性があり、Pachyglossa 属に分離することが提案されている[2]。痕跡的なP10は原始共通形質あるいは収斂ということになる。また、オリーブハナドリモドキの系統位置は不確実で、“odd” Dicaeum に近縁な可能性がある[2]。
かつては以下の属が近縁だと考えられ、ハナドリ科に加えることがあった:
しかしこれらは、ハナドリ科とも互いにも系統的に大きく離れており、別々の科に移された。
Sibley & Ahlquist (1990) は、ハナドリ科をハナドリ族 Dicaeini としてタイヨウチョウ科タイヨウチョウ亜科に加えた。