マツモムシ(松藻虫、Notonecta triguttata)は、カメムシ目(半翅目)・マツモムシ科に分類される昆虫の一種、またはマツモムシ科の昆虫の総称である。水生昆虫で、背泳ぎで泳ぐ事で有名。そのため英名も"backswimmers"である。
体長は11.5-14mm。体は細長い楕円形、触角は短く、鋭い口吻を持つ。前足、中足はやや短く、獲物を捕らえるために使われる。水中でうまく泳ぐために後脚は遊泳脚として発達している。
灰黄色で黒色の斑点があり、ビロードのような光沢を持つ。黄色い部分は北に行くほど広く淡色である。水中では体表面に空気の層を保持するため、銀色に見える。幼虫は、翅がなくて真っ白の腹部がよく目立つ。頭部・胸部に続く腹部が相対的に小さいので、頭でっかちに見える。
池や沼などの水中に見られる。普段は背面を下にして泳ぐ。水中で、体を水平にして泳いでいるか、水面の下に、頭をやや下げて静止していることが多い。飛ぶときはひっくりかえってから飛び立つ。
捕食性である。小魚やオタマジャクシのような小型の水生脊椎動物、他の水生昆虫のような小型水生節足動物、水面に落下した昆虫などを捕らえ口吻を突き刺して消化液を送り込み、体外消化のうえ溶解した肉質を吸汁する。本種を素手で捕まえ手のひらの上などに乗せた場合等にしばしば刺され、ハチに刺されたような激痛を伴うのは、口吻から捕食に必要な麻痺毒や消化液を含む唾液が送り込まれているからである。
日本には3属9種が知られている。