ネコ科(ネコか、Felidae)は、食肉目に分類される科。
最初のネコ科の動物が現れたのは始新世のことであり、4000万年ほど昔のことである。人間にとってもっとも身近な種であるイエネコが人間に飼われ始めたのは約10000年前からとされている[7]。ネコ科の種は幅広い環境に適応しており、アフリカからアジア、南北アメリカにわたって野生の個体が生息している。生育地の多くは保護されており、猟などは禁止されている。[要出典]
ネコ科は便宜的に(系統と無関係に)大型ネコと小型ネコに分けることができる。大型ネコにはよく知られる猛獣のライオン、トラ、ヒョウ、ジャガー、チーターなどが含まれる。小型ネコにはオオヤマネコ、ピューマ、ボブキャットなどがいる。イエネコ以外の小型ネコはヤマネコと総称される[要出典]。
オーストラリア大陸、南極大陸、マダガスカルを除く主要な大陸や島[5]
ネコ科の全ての種は捕食動物(プレデター)であるため、狩りに適した身体的特徴をもつ。
身体はしなやかな筋肉質で、瞬発力を活かした動きで狩りを行う一方、持久力に乏しく、イヌ科動物のように長距離を追い回すような狩りは行わない。多くの種は木に登ることが得意で、背中に迷彩模様をもつ。非常に強力な後ろ足を持ち陸上動物の中で最速の110 km/hで走るチーターや、6 m以上の距離をジャンプするユキヒョウ、木からジャンプして飛ぶ鳥を捕食するマーゲイ、水中で狩りをするスナドリネコなどもいる。
耳介は大型で漏斗状をしており、集音効果に優れている[5]。耳介は頭の上に立つ形のものがほとんどで、目と同じように、両耳介を揃えて前方に向けると高い指向性を発揮し、獲物の距離や方向を音からも鋭敏に知覚できる。可聴帯域は広く、種[疑問点 – ノート]によっては100 kHzまでの帯域をカバーする。眼は大型で、立体視ができ色覚もある[5]。目は頭蓋の前方を向き、立体的に獲物までの距離を知ることができる。瞳孔は調節する筋肉が作用し、明るさの変化への順応が早い[5]。網膜の感覚細胞の後部に反射層(タペータム)があり、これにより光が感覚細胞を透過せず反射することで2回刺激され暗所でも適応できる(夜にネコの眼に光が当たると光るのはこのため)[5]。縮瞳時と散瞳時とで瞳孔径の差が大きい。これらは、多くが元々夜行性で、森で活動していたためと考えられている。なお、暗い場所にいるネコ科の動物に正面から光を当てると目が光って見えるのは、網膜の反射層によるものである。
歯列は門歯が上下6本、犬歯が上下2本、小臼歯が上顎6本・下顎4本、大臼歯が上下2本と計30本の種が多い(オオヤマネコ類・マヌルネコ・亜種イリオモテヤマネコなどは上顎の小臼歯が4本のため計28本)[5]。犬歯は大型で(ウンピョウで顕著)、獲物に噛みつき仕留めるのに適している[5][6]。陸棲食肉目の中で最大の犬歯と鋭い裂肉歯を持ち、短く大きい顎により咬む力は相当強い。第二・第三大臼歯は完全に退化していて、裂肉歯の奥にある上顎第一大臼歯は痕跡器官となっている。食物を咀嚼する大臼歯が退化している代わりに、舌に鑢状の突起があり食物を固定・引き裂き・肉を削ぎ落とすことができる[5]。ヒョウ属では舌骨の基部を動かすことができ、これによって吠えることができる[5][6]。
多くの種で爪をさやに引っ込めることができ、木登りや獲物を捕らえる時にだけ爪を出す[6]。獲物の捕獲や木登りに用いる鉤爪は常に鋭く研がれており、チーターを除く全ての種が、収納できる。この特徴は他の食肉目にはないネコ科固有のものである。また、他の食肉目と同様に足の裏に肉球をもつ。これらの特徴は獲物に近づく際に足音を抑えて、獲物に気づかれにくい利点がある[要出典]。
ウンピョウNeofelis nebulosa
トラPanthera tigris
ユキヒョウP. uncia
ヒョウP. pardus
ライオンP. leo
ジャガーP. onca
マーブルキャットPardofelis marmorata
ボルネオヤマネコP. badia
アジアゴールデンキャットP. temminckii
サーバルCaracal serval
アフリカゴールデンキャットC. aurata
カラカルC. caracal
オセロットLeopardus pardalis
マーゲイLeopardus wiedii
パンパスネコL. colocolo
アンデスネコL. jacobita
ジャガーネコL. tigrina
ジョフロワネコL. geoffroyi
コドコドL. guigna
ボブキャットLynx rufus
カナダオオヤマネコL. canadensis
オオヤマネコL. lynx
スペインオオヤマネコL. pardinus
チーターAcinonyx jubatus
ピューマPuma concolor
ジャガランディP. yaguarondi
マヌルネコOtocolobus manul
サビイロネコPrionailurus rubiginosus
マレーヤマネコP. rubiginosus
ベンガルヤマネコP. bengalensis
スネドリネコP. viverrinus
ジャングルキャットFelis chaus
クロアシネコF. nigripes
スナネコF. margarita
ハイイロネコF. bieti
リビアネコF. lybica
ヨーロッパヤマネコ
F. silvestris
イエネコF. catus
2006年に発表された分子系統推定から以下の系統に分かれるとする説もある[2][8]。
以下の分類はIUCN SSC Cat Specialist Group(2017)、和名は断りのない限り伊澤(1992)に、英名はMSW3(Wozencraft,2005)・IUCN SSC Cat Specialist Group(2017)に従う[2][3][4]。近年提唱されている大きな分類の変化で、現時点で下位分類の記事が存在する・別属の記事となっているものなどに関しては括弧付きで補足を行う。
かつては、ネコ亜科 Felinae とヒョウ亜科 Pantherinae の2亜科、あるいはさらにチーター亜科 Acinonychinae を分けた3亜科に分類されてきたが[9]、これらの分類は系統的ではない。現生種を全てネコ亜科に含める説もあり[9]、その説に従えば従来のネコ亜科はネコ族 Felini、ヒョウ亜科はヒョウ族に分類される[14][15]。
またそれに加え、絶滅したマカイロドゥス亜科 Machairodontinae(≒剣歯虎)と、いくつかの原始的な亜科未定の属がある[14][15]。プロアイルルス亜科 Proailurinae を認める説もある[16][要検証 – ノート]。
約4分の3以上の種が森林に生息する[5]。夜行性で森や茂みの中で生活する種が多い。主に単独で生活するが[5]、ライオンやチーターは血縁関係のある個体で群れを形成することもある[6]。野生のネコ科動物は群れ(家族集団)で狩りをするライオンを除き、すべて単独で狩りを行う[17][要検証 – ノート]。
主に脊椎動物を食べるが、魚類、昆虫、果実を食べることもある[6]。肉のみを食料とする種も多く、ほとんどの地域で食物連鎖の頂点にいる。
主に2 - 3匹の幼獣を産む[6]。出産間隔は小型種では年に1 - 2回、大型種は2 - 3年に1回[6]。
毛皮目的の狩猟、家畜や人間を襲う害獣としての駆除などにより生息数が減少している種もいる[6]。
地域での自然破壊と野生動物の減少に従い、多くの野生種は野生絶滅の危機に瀕し、保護地域で生存するのみとなっている。さらに、毛皮を求める人間の乱獲により個体数の減少に拍車をかけている。飼育によって繁殖できる種もあり、絶滅に近い種は数種だが[疑問点 – ノート]、生態がよく研究されていない種も多い。
ネコ科(ネコか、Felidae)は、食肉目に分類される科。
最初のネコ科の動物が現れたのは始新世のことであり、4000万年ほど昔のことである。人間にとってもっとも身近な種であるイエネコが人間に飼われ始めたのは約10000年前からとされている。ネコ科の種は幅広い環境に適応しており、アフリカからアジア、南北アメリカにわたって野生の個体が生息している。生育地の多くは保護されており、猟などは禁止されている。[要出典]
ネコ科は便宜的に(系統と無関係に)大型ネコと小型ネコに分けることができる。大型ネコにはよく知られる猛獣のライオン、トラ、ヒョウ、ジャガー、チーターなどが含まれる。小型ネコにはオオヤマネコ、ピューマ、ボブキャットなどがいる。イエネコ以外の小型ネコはヤマネコと総称される[要出典]。